きき酒は人間が有する感覚を総動員して行わなければならない。
@聴覚・・・耳
A聴覚・・・目
B臭覚・・・鼻及び鼻孔
C味覚・・・口腔、舌、鼻腔、喉、舌の感覚、その他
以上のようなポイントが挙げられるが、これらの「外観」、「香り」、「味わい」、「余韻」は、相互に密接な関係がり、その一貫し、総合された香味全体を捉えることが重要である。

●香りをとらえるための基本方策

第一の
香り:
  上立ち香
■トップノーズ・原料または原料処理に由来
(捉え方) 静止状態を保ち、即座に瞬間的に嗅ぎ取る。
第二の
香り:
  酒器中で酒に渦巻きを起こし、空気中の酸素と香気成分が反応した後の涌き上がってくる香り。
■発酵・醸造・酵母、発酵温度に由来
(捉え方) 酒器内の酒に渦巻きを起こし、数秒後に酒器内まで鼻孔を導き、瞬間に現れる香りの粒立ちを嗅覚が麻痺しないように休ませながら行う。ゆっくりと嗅ぎ取る。
第三の
香り:
  残り香
■熟成に由来、無香の場合もある
(捉え方) 経時後の酒器内部に滞留した香りを探す。
展 開:   花が開く様に香りの全体または一部が一貫性を保ちながらふくらみ、連携していく展開の香り。
■経過展開による変化。酸素との接触、温度の上下による変化、嗅覚の慣れによる感覚の移行。
(捉え方) @ABの行程での展開を捉える。
変 化:   酒器内で香りの強弱の変化、ベースとなっている香りに変異がでてくるのを捉える。
■香気成分の含有量の多少と構成違い、香気の呈香持続力の差。
(捉え方) 経時による変化を忘れずにみる。
減 衰:   明確であった香りが徐々に不明確になり、ついには感知できなくなっていく過程。
■原料または原料処理に由来
(捉え方) 減衰の速い、遅いを確認する。

●温度差によるテイスティング

温度差によるテイスティング

●酒器の種類

酒は飲むための「器の容量、形状」によって同一の酒でも驚くほど香味を変えてしまう。これは、主な成分の構成比の微妙な差により、香り立ち方、これに要する時間がそれぞれに違い、ビンから器に注がれた瞬間から刻々と様子を変える。

大きな器の少量の酒を注ぐと温度変化が急激に起こるし、過小な器の場合にも同様なことが起こる。適切な容量であることが肝要である。

お酒のタイプに合ったグラス

薫酒
(香りの高いタイプの酒)
ラッパ型、円筒型のグラス、白ワイン形状のもの。
華やかな香りが楽しめる形状の器・グラスを考慮する。
爽酒
(軽快でなめらかタイプの酒)
飲みきりサイズの小振りのグラス。冷やした薄手の器。
清涼感あふれるフレッシュな味わいを活かすためには、器・グラスに温度が上がらないような工夫が必要になる。
醇酒
(コクのあるタイプの酒)
うりざね型のいグラス、焼きしめの器等。
重厚な香気成分がこもり過ぎないような形状のものを選ぶと良い。
熟酒
(熟成タイプの酒)
ブランデーグラス形状のグラス、バルーン型のグラス等。
複雑な香気成分が刻々と変化するのが楽しめる形状のタイプが好ましい。

上記、4タイプの共通項として

容量: 60ml以上のもの。450ml以上の大きいものはだめ。
口径: 2cm以下の口径のグラスは、香りを嗅ぐことができない。
形状: ひょうたん型のグラスは容量は違っても香りの主たる成分を削り取るか、ある特定の揮発性の高い成分のみを強調する。香りをゆがめる。

(出典:日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会、きき酒師必携)