清酒のランクという観点でいうと、一昔前は、特級酒、一級、二級というランクがあったが、平成4年4月1日より日本酒の級別制度が撤廃され、現在は、「製法品質表示基準」として8種類のランク付けをしている。
 
ランクの上で最も高級な酒は「純米大吟醸」とされているが、必ずしもランクの一番上の酒が「一番旨い酒」であるとは限らない。
 
また、お酒の鑑評会に入賞することを目指すより、本醸造や純米酒に心血を注いでいる蔵元も多いので、賞をとっていないからといって選択基準からはずすことはできない。
 
簡単に、自分が気に入った酒をさがすには、『吟醸酒』『純米酒』『本醸造酒』『生酒』という分け方で選ぶか、『味と香りのタイプ』別のお酒を選ぶかの2つの選び方がある。

●ポイント1

簡単にいうと『吟醸酒』、『純米酒』、『本醸造酒』のランクで選ぶと選びやすい。

吟醸酒、純米酒は、昔の特級以上の高級酒である。その理由は、素材が従来酒よりはるかに高く、製法も難しい。それだけに杜氏のこだわりもあり、価値がある酒となる。

本醸造酒は、安定した酒質、飲み飽きない酒として毎日飲みたいお酒である。自分の好みの本醸造酒をいくつか持って、特別な時や記念日に吟醸酒を選んではどうか。

清酒のランク

製法品質表示基準(特定名称の表示 8種類に分類)

@純米大吟醸酒 A大吟醸酒 B純米吟醸酒 C吟 醸 酒
D純 米 酒 E本醸造酒 F特別純米酒 G特別本醸造酒

分類の特徴

吟醸酒、本醸造酒の使用原料は、米、米麹、醸造アルコール(醸造アルコールの添加は、香りが高くスッキリとした味となる)。
純米という名が付くと米と米麹のみが原料。
 
@とAは精米歩合が50%以下、BとCが60%以下、DとEが70%以下、FとGは60%以下または特別な製造方法の酒。
精米歩合(%)が小さいほど強い酵素力のある麹ができ、酒母、醪(もろみ)での糖化も良くなるので、旨い酒ができる。特に戦後になって研究が進み、日本酒における優秀な酵母が分離されるようになり、吟醸酒のように吟香が高い酒ができるようになった。精米技術の向上も上げられる。

レギュラー酒の基準(特定名称以外の酒)

@普通酒 (一般清酒、上撰酒、佳撰酒など)
A低価格酒(パック酒など)
 
精米歩合に規定はないが、70%以上と推定。使用原料は、米、米麹、醸造アルコール、および糖類、酸味料、化学調味料が加わる。

●ポイント2

もう一つの選び方として、『4タイプ分類』で選ぶ。

@薫酒(薫りの高いタイプ)

料理: 食前酒にもっとも適する。和食・洋食・中華を問わず相性が良い。
選ぶ酒: 大吟醸、吟醸酒が代表的。生酒、本醸造酒にも該当する酒がある。
香り: 華やかで透明感のある果実や、花の香りや、爽やかさを感じさせる。香草や、柑橘類の香りを持つ。
味わい: 爽快な味わいをもたらす酸とのバランスが取れている。苦味や旨味が少なく、明るく爽やかな味わい。

A爽酒(軽快でなめらかなタイプ)

料理: 軽快な旨味を持った料理、淡い味付けの料理と同調の芳香を示す。淡白な素材を前面に活かしたものや、清涼感あふれる風味を持ったものと合わせると、両方の爽やかさが相乗効果で引き立つ。
選ぶ酒: 生酒が代表的。本醸造酒、純米酒にも該当する酒がある。
香り: わずかな果実香と、新鮮な爽やかさを感じさせる。
味わい: 清涼感を持った味わいで、軽くさらりとしている。

B醇酒(コクのあるタイプ)

料理: 食中酒として最適。料理との許容範囲が非常に広い。しっかりとした旨味を持つ料理との調和の方向を示す。アクの強い食材、発酵食品などの強い風味の料理にも負けない力強い酒質を持つ。生クリームやバターを使用した洋食系の料理とも好相性を見せる。
選ぶ酒: 純米酒が代表的。本醸造酒にも該当する酒があり。
香り: フルーツや花、ハーブを思わせる香りは非常に少なく、樹木や石の香りがあり、ふくよかさを感じさせるまろやかさで、複雑な旨味を感じさせる香りが強く、濃厚で柔和な香りの特性をもっている。
味わい: 甘味、酸味は心地よい苦味とふくらみのある旨味と共に調和し、とろりとして充実したふくよかな味わいとなっている。味わいの残存時間が長く、力強さが感じられる。

C熟酒(練れた薫香りと豊潤な味わいのタイプ)

料理: 食後酒的な飲用にも適する。非常に個性的で力強い味わいを持つため、料理を選ぶ傾向にある。風味の強い、濃厚な味付けの料理とうまく引き合う。油脂成分の多い料理、深く煮詰める、焦げ味を付ける調理法の料理に合う。
選ぶ酒: 古酒が代表的。一般純米酒にも該当する酒がある。
香り: 力強く複雑で個性的な香りを持つ。干した果物や干し草の香り、スパイスや樹木、香木を思わせる香りが非常に豊かである。また、きのこ類やナッツの香りが濃厚な熟した旨味を強く暗示させる。
味わい: 甘味はとろりとしていて、よく練れた酸味が加わりバランスを取っている。強いスパイスや香ばしい味わいが、熟成した複雑な旨味と共に口中に存在感を現す。重厚な後味と長い余韻がある。(中国の老酒、紹興酒のイメージ)

●ポイント3

生酒を飲む

 生酒の種類:『生酒』 『生貯蔵酒』 『生詰め酒』

 もともと日本酒は、お酒を造った後、出荷するまでに二度、「火入れ」を行う。

通常の酒: 発酵-> 上槽-> 濾過-> 火入れ-> 貯蔵-> 濾過-> 火入れ-> ビン詰め
生 酒 : 発酵-> 上槽-> 濾過 ------> 生貯蔵 ------ ------> ビン詰め
生貯蔵酒: 発酵-> 上槽-> 濾過 ------> 生貯蔵 (濾過)  火入れ-> ビン詰め
生詰め酒: 発酵-> 上槽-> 濾過-> 火入れ-> 貯蔵-> 濾過--- ------> ビン詰め

お酒を造り終えた段階でも酵母はまだ生きており、タンクの中でそのまま熟成させると、気温の上昇してくる春から夏にかけて変質してしまうので、酵母の活動を休止させるために行うのが「火入れ」である。そして、ビンに詰めて出荷するときにもう一度行うのが普通である。

『生酒』:

「火入れ」を一度も行わないで、飲み手に届けるお酒のことをいう。これは、特殊なフィルターを通して酵母やその他の菌を漉し取り、発酵を止める技術を使っているから可能になった。

『生貯蔵酒』:

出荷の直前に一度だけ、火入れを行う。

『生詰め酒』:

生酒を加熱処理して貯蔵し、ビンに詰める時の火入れを省いた酒のことをいう。

 

原酒を飲む

搾りたてのお酒を「搾りたて」「糟(ふなくち)」「荒走り」という。搾りたてのお酒はアルコール分が18度から19度あり、水を加えていないので原酒ということができる。ラベルに原酒と書いてあれば、水を加えていないということができる。

原酒は新鮮な果物の香りと、酵母が生きているためシャンパンのような感じがして、旨味が口の中に広がる。アルコール度数も高いため酒飲みにはこたえられない。原酒の「冷凍酒」などもあり、夏には持って来い酒である。